意外なものから画期的なものまで!歴代五輪のロゴマークに込められた意味

ロゴ3

各オリンピックが開催されるごとに制作されるのが、公式ロゴマーク。さまざまな大会公式グッズにプリントをされるほかに、大会が参加者や視聴者に向けて発信する大事な意味やメッセージを込められていたりと、大変重要な存在となっています。

歴代オリンピックのロゴマークを、そのデザインの由来とともに紹介していきます。

オリンピックシンボル

各オリンピックのロゴマークを紹介する前に、まずオリンピックと言えばこれ!という、あの五輪を象徴するオリンピックシンボルの由来から。左から、青・黄・黒・緑・赤の五つの輪が繋ぎ合わさったデザインは、紹介順にヨーロッパ・南北アメリカ・アフリカ・アジア・オセアニアを表しています。

五大陸ではなく、ユーラシアをその語原のとおりヨーロッパとアジアに分け、南北アメリカを統一して表現している点が特徴ですね。ギリシアに都市国家が栄えた時代に開催されていた「古代オリンピック」を復興するために「現代オリンピック」を創設した、フランスのピエール・ド・クーベルタン男爵がデザインしたシンボルとして知られています。

かつて古代オリンピックが開催された、デルフォイという都市の祭壇から発見された刻印に着想を得た、と云われています。

2020東京オリンピック

ロゴ9

2020東京オリンピックのロゴマークは、デザイナー野老朝雄の「組市松紋」です。

正方形、長方形、さらに細長い長方形の3種類の四角形からなる、市松模様によって表現されている点が特徴です。日本の伝統的な紋様である市松模様をベースに、3種類の四角形を繋ぎ合わせることで、さまざまな国や文化の多様性が調和する様を表現しています。

落ち着きのある藍色を採用している点も魅力的です。文房具や、スマホアクセサリーなどいろいろな製品に2020東京オリンピックのロゴがあしらわれていますね。その由来を意識して購入したり、使用したりするのも良いかもしれません。

2018平昌オリンピック

フィギュアスケートの羽生結弦選手、スピードスケートの小平奈緒選手が金メダルに、スキー・ノルディックの渡部暁斗選手が銀メダルに輝いた大会です。平昌はハングルで表記すると「평창」となります。この2文字の左上の部分のみを抜粋したデザインが、平昌オリンピックのロゴマークなのです。

開催地を表した文字を違和感なくロゴ化した、という点は秀逸です。

2016リオオリンピック

初めて、ゴルフがオリンピック競技として採用された大会です。卓球代表の水谷隼選手が遺した、卓球シングルにおける初のメダル獲得という偉業は日本中の食卓を沸かせました。緑・黄・青の人型が手を取り合ったデザインをロゴマークに採用しました。

この3色はブラジルの国旗を表現したものです。オリンピックのロゴ史上初めての3次元構造をしたロゴとなっており、これまではポスター等の印刷物やTシャツといった平面的ものがほとんどだったロゴグッズを、キーホルダーなどの3次元的な商品まで、その裾野を広げたといわれています。

実はこのデザイン、類似の構図が存在することから盗作の疑惑を掛けられたことがあります。しかし、デザインの経緯やそこに込められた意味を毅然とした態度で主張し続けた結果、疑惑の声は鎮まり、ロゴに込められた「集まった人が皆平和に、またすべての人を受け入れる」という意図を高く評価される結果となりました。

2014ソチオリンピック

ロシアの南端に位置する、黒海に面したリゾート都市で開催された冬季オリンピックです。フィギュアスケートの浅田真央選手の鮮烈な演技は印象的でした。黒海の水面を表現した青色で描く、組織委員会のサイトのドメインをモチーフとしたロゴマークは、その斬新さから話題となりました。

インターネットを通じて、オリンピックの情報を発信したり、世界中の人々の関心を集めたいという方針の表れでもありました。

2012ロンドンオリンピック

ロンドン市の課題でもあった東ロンドン地区の開発を、競技会場や選手村の設営を機に着手し、オリンピックの閉会後、開催地周辺をニュータウン化に成功。先進国におけるオリンピック開催の成功モデルとして有名になりました。

多くの大会ボランティアに支えられたことでも知られています。ロゴマークは東京メトロなどのデザインを手がけたことで有名な、Wolff Olins社が制作しました。開催年である「2012」を崩した姿をモチーフにしています。

数字をそのままデザインのベースとする試みは、オリンピックのロゴ史上においてはかなり画期的なことでした。他方では、この抽象化された「2012」という文字がシオン(Zion)と読み取れなくもないことから、「親ユダヤ的である」という少々強引な指摘をアラブ諸国から受けた、という経緯もあります。

2010バンクーバーオリンピック

カナダ西海岸のバンクーバーで開催された冬季オリンピックです。「購入されたにもかかわらず未使用となってしまうチケットを減らす」ことを目的に組織委員会公認のチケット転売サイトを設立する、といった新たな試みが行われました。

記録的な暖冬となってしまい、競技会場に雪を搬入する、といった事態も発生しています。グルジアのリュージュ代表であるノダル・クマリタシビリ選手が、現地での練習中に事故により死亡してしまった事故は、とても痛ましい出来事でした。

人間が両手を左右に広げたようなモチーフを大会のロゴに採用しています。このロゴマークは「イヌクシュク」というカナダ先住民族のイヌイットが作る、巨石を積み上げたモニュメントから着想を得ています。このイヌクシュクはカナダの各地に点在するほか、実は日本の広島市に寄贈をされています。

2008 北京オリンピック

戦後初めて、トラック競技でメダルを獲得した男子400mリレーや、最大のライバルであるアメリカを破り金メダルに輝いた女子ソフトボールなど、日本の視聴者におおきな感動をもたらした大会でした。平泳ぎの北島康介選手が残した名言「なんも言えねぇ」は、あまりにも有名です。

松岡修三さんの熱い応援スタイルも印象に残っています。大会のロゴマークは北京の「京」の字に見立てた人型が、ゴールテープを切る様を表しています。

歴代オリンピックのロゴについて、まとめ

7大会分のオリンピックのロゴを、各大会の印象的なエピソードとともに紹介しました。開催国や開催都市の文化や地理をモチーフとしたロゴが多い一方、ドメインや開催年をそのままデザインに取り入れるという画期的な試みがあったことには驚かされます。

各々に込められた意味やメッセージを知った上で、再度ロゴを見返すことでなにか新しい気づきに出会えるかもしれません。